バンコクのあらゆるマーケットや催事で見かけるお店「FEEMUE(フィームー)」。
バンコク最大のスラム街「クロントゥーイ・スラム」で生まれたライフスタイルブランドです。
他には無い少し個性的なデザインが目を引くおしゃれなバッグが人気で、日本人の愛用者を見かける事が多いので、バンコク在住の方ならご存じの方も多いのではないでしょうか。
先日そんなFEEMUEが不定期で開催しているクロントゥーイ・スラムのツアーへ参加してきました!
この記事では、FEEMUEというブランドについて、クロントゥーイ・スラムについて解説し、今回のツアーの体験記も併せて記載します。
私は今回のツアーを通してスラムについての知識を得ることができただけでなく、自分に出来る事は小さなことでもやっていきたいという気持ちにさせられました。
こんなミジンコブログでも、誰かの目に留まりクロントゥーイ・スラムを知ってもらうきっかけになれば嬉しいです。
お時間のある方は最後までお付き合いください!
クロントゥーイ・スラムについて
まずはタイのスラムと、今回訪れたクロントゥーイ・スラムについての説明です。
内容はツアー内でスライド付きで解説して頂いた内容。
知らない事だらけで、とても勉強になりました。
タイのスラムについて
タイのスラムの定義は「1ライ(1,600㎡)に15世帯以上があり、不衛生で居住環境が劣悪な地区」です。
タイではこのような地域の事をスラムとは呼ばず「人口密集コミュニティ」と呼んでいます。
高層ビルの立ち並ぶバンコクの中心部ですが、実は少し郊外へ出るとたくさんのスラムがあり、その数はなんと2,000か所以上!
それらの地域に住んでいる人の合計は210万人を超えると言われています。
バンコクの人口は約547万人なので、3分の1以上の人がスラムに住んでいることになります。
スラムに住むのはタイ人だけではなく、周辺国の出稼ぎ労働者や不法滞在者なども多いようです。
ちなみにクロントゥーイ・スラムはカンボジア人居住者の数も多いと言われています。
※バンコクの人口はバンコク週報の記事参照
クロントゥーイ・スラムの場所
クロントゥーイ・スラムはラマ4通りとクロントゥーイ港の間にあり、プロンポン駅から車で15分程度の場所にあります。
タイ最大のスラムと言われており、地区数は43、面積は2,357ライ(377万1,200㎡)です。
この地区で10万人を超える人が生活しています。
かつてクロントゥーイ港で仕事をしていた人々や、クロントゥーイ港へ仕事を求めてやってきた人々がこの地域にスラムを形成したのだとか。
現在は港で仕事をする人だけでなく、その地区で商店を営む人や、街へものを売りに行く人、会社やデパート、レストランなどで働く人など様々な人が生活しています。
最近はミャンマーやカンボジアの出稼ぎ労働者も多く居住しているのだとか。
近い将来無くなってしまう?
10万人もの人が住んでいるクロントゥーイ・スラムですが、現在政府が計画するクロントゥーイ港の開発プロジェクトの対象エリアに入っています。
このプロジェクトは港周辺にカジノや商業施設、ホテルなどを建設し、外国からのクルーズ船を誘致しようというものです。
港の再開発が始まると、スラムは取り壊しを余儀なくされます。
現在住んでいる住民たちへは、保証金の支給や、政府が準備した土地への移住支援など、様々な補償案が用意されているものの、どれもまだ不十分。
また、外国人居住者は対象に入っていないとの事で、スラムに住む人々は不安な日々を過ごしているそうです。
補償案はまだ確定ではなく協議の途中なので、更に手厚い補償が準備される事を願うばかりです。
ライフスタイルブランド「FEEMUE(フィームー)」とは
今回このツアーを主催しているFEEMUE(フィームー)は、シーカーアジア財団が運営する、クロントゥーイ・スラム発のライフスタイルブランドです。
バッグやアクセサリー、生活雑貨などを取り扱っていて、日本の一部地域での販売も行っています。
FEEMUEはタイ語で「腕前」「技術」という意味。
縫製所の女性や軒先でモノづくりをする人々が生産を行うことでスラム内での雇用を創出するだけでなく、ブランドを通してスラムの持つネガティブなイメージを払拭する活動を行っているのだとか。
プロダクトをデザインするFUJI TATE P氏は、実際にスラムに2か月間滞在しながら、クロントゥーイ・スラムの空気をデザインに落とし込みました。
滞在中はスラムの方のお家へホームステイをしたり、積極的にコミュニケーションを取りながら、過ごしたようです。
FEEMUEのロゴマークに込められた想い
四角い枠の中にブランド名が書かれたロゴマークは、グラフィックデザイナーである堀廉太郎氏がデザインしたもの。
このロゴは子供達が各クロントゥーイ・スラムの絵から着想を得たそうです。
四角い枠の上下にある隙間は、クロントゥーイ・スラムと外を繋ぐ2つの出入り口を、四角い枠の仮名にあるブランド名はスラムの中に密集する家屋を表現しています。
2つの出入り口からFEEMUEやクロントゥーイ・スラムの事が外の世界へ広まって行くようによいう想いが込められているようです。
プロダクトで使われている素材
シャカシャカとしたビニールのような素材が特徴的なFEEMUEのプロダクト。
この素材は日除けや雨除けに使われるタープ素材と言うそうです。
クロントゥーイ・スラムでは家の外壁や屋根に打ち付け、日常的に使われています。
タープ素材の中でもお米袋に使用される透明のものを使用し、クロントゥーイ・スラムらしさだけでなく、デザイン性も追及されています。
商品購入が社会貢献につながる
FEEMUEの商品の売上は、シーカーアジア財団を通してスラムに住む子供たちの教育支援や環境改善活動に充てられています。
バッグの価格は正直安くはありません。
しかし、購入する事でスラムに住む人々の手助けが出来るというのは、私のように「何かしたいけど一歩を踏み出す勇気がない」という人にとってはありがたい仕組みです。
FEEMUEのプロダクトが売れる事で、それを作るスタッフの仕事にもなるので、雇用創出の手助けにもなっています。
商品を購入できる場所
FEEMUEの商品はシーカーアジア財団の2階にあるショールームで購入する事ができます。
その他、以下の場所で常時手に取る事ができます。(リンクからGoogle Mapに飛べます)
タイミングによっては欲しい商品が欠品しているという可能性もあり。
タイ国内は公式LINEから注文し、デリバリーして貰うことも出来るみたいです。
公式LINE:@feemue
クロントゥーイ・スラムツアー体験記
ここからは私が参加したクロントゥーイ・スラムのツアー体験記です。
内容としては下記のような感じでした。
- クロントゥーイ・スラムとFEEMUEの説明
- スラム内の散策
- プアンマーライづくり
- ショップ・施設内見学
1番はここまでで説明した通りなので、スラム内の散策からレポートしていきますね。
スラム内の散策
スラム内の散策は、前後にシーカーアジア財団のスタッフさんがついて、1列になって進みます。
シーカーアジア財団がある周辺は複数のNGOや財団が軒を連ねるエリアで、近くには幼稚園や学校もありました。
大通りを少し歩いた後、路地に入ると一気にこの狭さ。
裏口的な場所かと思いきや、普通に玄関があります。
この細さの道が縦横無尽に広がっていて、すぐに方向を見失いました。
これは1人で歩いていたら迷子になるなあ。
少し歩くと線路に出ました。
家の至近距離を電車が通るのは衝撃。
ネコちゃんがいっぱいいてパラダイスでした。
もっと密集している路地でご近所さん同士で集まって楽しそうに話している姿や、子供達が駆け回っている姿も見れましたが、人々の生活風景を撮るのもなんだかなあと思い、あまり写真は撮っていません。
ただ、玄関に、このサイズの家に何人住んでいるの?っていうくらいたくさんの靴があったり、お菓子の袋やペットボトルなど、沢山のごみが溢れかえっている一角があったりと、お世辞にも良いとは言えない生活環境を目の当たりにしました。
プアンマーライづくり
ツアーが終わったらプアンマーライづくりです。
講師はプラカノンでプアンマーライ屋さんを営むお姉さん。
このお花たちを特殊な針を使って紐に通していきます。
言われた通りに針に通していくと、なんだか見た事ある形になってきました。
おお!
このお花の形がとても可愛かった。
完成です!
器用な方ではあると思いますが、黄色のボンボンしたお花の間の小さなお花を順番に針にさしていく作業は中々タフでした。
ショップ・施設内見学
最後はショップ見学。
ここは降るラインナップが揃っていたので、皆さん思い思いに購入していました。
バッグだけじゃなくて、アクセサリーもかわいいです。
尾木ママも来たらしい。
私はペンケースになりそうな細長いポーチを購入。
もう5年くらい使っているトートバッグと比較すると、やっぱりタープの部分が綺麗ですね。
ちなみに、1階には無料で利用できる図書館があり、地域の子供たちの憩いの場となっています。
たまにここでタイ語やクメール語などの勉強会も行われているみたいです。
本がたくさんありますが、本を読んでいるというより、みんな走り回って遊んでいる感じでした。
図書館と言うより児童館みたいな感じでした。
さいごに
今回は先日開催されたクロントゥーイ・スラムのツアーに参加したレポートでした。
高層ビルの立ち並ぶプロンポンから車で15分程度のところに、こんな世界が広がっているなんて。
この地域の方々の貧困はもちろんどうにかすべき問題なのはもちろんですが、近い将来ここが無くなってしまう計画があり、住人たちは十分な補償を受けることが出来るのかまだ定かではないということも気になる点でした。
また、このスラムに限らずタイには数多くのスラムがあるということも、タイに住む我々にとっては知っておくべきことなのではないかと思います。
別にみんな寄付しよう!とか、ボランティアしよう!とか呼びかけるつもりは全くないのですが、この文章が誰かの目に留まり、少しでも考えるきっかけになればなと思い、いつもの記事より少し頑張って書きました。
気になる方はFEEMUEやシーカーアジア財団のHPを覗いてみてくださいね!
長らくお付き合いいただきありがとうございました!